損益計算書で最低限必要な見方を解説【成長株のヒント】
Stock, 株式投資,トレードのコツ, ファンダメンタル指標, 長期投資
こんにちは、投資家・トレーダー・フリーランスエンジニアの祐です。
「株への投資を始めたいけど、決算書とか読めないよぉ...」
という、これから株への投資を始めたい初心者向け。
中長期投資の銘柄選びをするには、一社一社の財務状況を知る必要があります。健全な経営はされているか、売上は伸びているか、借金はないか、将来性はあるのか。それらを判断するためには「決算書」を観る必要があります。
決算書は本来、簿記の知識が必要になるので、普通に観たらなにがなんだかわからないと思います。今回はあくまでも、中長期投資の対象となるかどうかを判断していくために必要な部分にしぼって解説していきます。
決算書を構成する3つ
企業の決算書は大きく分けて3つで構成されています。
- 損益計算書(P/L)
- 貸借対照表(B/S)
- キャッシュフロー計算書(C/S)
今回はこの中でも、企業の売上や利益などの数値が記載されている損益計算書についてのお話です。
この記事は誰におすすめ
- 損益計算書の見方がわからない人。
- 株の銘柄選びで困っている人。
- 長期投資に興味がある人。
この記事の内容
※この記事はプロモーションを含みます。
まずは損益計算書の基本的な見方から。
いきなりポイントから紹介していきたいところですが、やはり損益計算書がどういうものかだけ、最低限の見方から紹介していきます。
ここだけは勉強になってしまいますが、健全な経営がされているかを判断するには知っておかなければいけない部分ですので、がんばって覚えましょう。
損益計算書のサンプル
前期(百万円) | |
売上高 | 40,000 |
売上原価 | 25,000 |
売上総利益 | 15,000 |
販売費及び一般管理費 | 8,000 |
営業利益 | 7,000 |
営業外収益 | 200 |
営業外費用 | 800 |
経常利益 | 6,400 |
特別利益 | 100 |
特別損失 | 500 |
税引前当期純利益 | 6,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 2,400 |
当期純利益 | 3,600 |
このサンプルを一つ一つ解体していきます。
【収益】-【費用】=【利益】
これがわかるだけでも、損益計算書の見方は全然変わってくると思います。そう、ただの足し算と引き算なんです。サンプルでは、青字を【収益】、赤字を【費用】にしています。
【収益】から【費用】を引けば、【利益】が出る。ただそれだけなんです。一番上の「売上」を先頭として、順番に差し引きしていけば、当期純利益を算出することができます。
めちゃくちゃ簡単ですよね。あとは、5つの利益の違いだけ理解すれば、損益計算書の見方はわかったも同然です。
5つの【利益】の違いを知る。
損益計算書には5つの【利益】があります。
- 売上総利益
→ 本業の売上から原価を引いた利益 - 営業利益
→ 売上総利益から
本業にかかった費用を引いた利益 - 経常利益
→ 営業利益から
本業ではないが日々入ってくる
収益と費用を含めた利益 - 税引前当期純利益
→ 経常利益から日常的ではない、
予測できない収入と
費用を含めた利益 - 当期純利益
→ 税引前当期純利益から
税金を引いた最終的な利益
知っておいたほうがいいのは、売上総利益・営業利益と、経常利益、そして税引前当期純利益の中身の違いです。
損益計算書の一番上の「売上高」は、本業による売上のことを指しており、売上高から原価を引いて「売上総利益」。
そこから営業活動(給料や水道光熱費など様々)で発生する費用を差し引きしたのが「営業利益」。
そこからさらに、本業ではないが日々発生する収益と費用(主に利息など)を差し引きしたのが「経常利益」。
ここまでが経営していく中で、日常的に出入りしているお金です。そして経常利益から、株の売却で得た利益や災害による損失など、非日常的なお金の出入りを差し引きしたのが、「税引前当期純利益」です。
「当期純利益」が高い場合でも、その内訳が本業の売上ではなく、特別利益の影響によるケースもあるので、ひとつひとつしっかり見ていく必要があるわけです。
推移を見ていくのが大事。
損益計算書に限らず決算書を見ていく上でとても大事なのが、単年度で見ても意味はないということ。今期がよかったから買い、といったように簡単に判断することができません。
過去の数字と比較して変化をを見ていくことを「経年比較」といいます。投資対象となるかどうかを判断していくには、この「経年比較」をしていく作業といえます。
銘柄選びで必要とされる損益計算書の見方。
ここまでの基本の見方を踏まえた上で、実際の銘柄選びにどう役立てていくか。投資対象かどうかを判断するための損益計算書の見方を紹介します。
「売上総利益」が示すもの。
売上総利益は売上高から原価を引いて計算されます。なので、売上高が年々上がっているかどうかはもちろん、原価の増減にも左右されるわけです。
単に売上高の増加だけ見てしまうと、原価に費用をかけ過ぎている場合に気づけません。売上高が増加しつつ、原価が低いことで売上総利益も増加しているなら、付加価値が高まり、企業のブランディングがうまくいっているといえるでしょう。
本業の調子を見抜くのが「営業利益」
営業利益は本業にかかる費用を引いた数字です。ここでいう費用とは、営業する上での広告費はもちろん、本業に関わる人件費や水道光熱費もろもろ含みます。
営業利益が増加していれば、それは本業で儲ける仕組みができているということ。一方で、営業利益がマイナスとなれば、それは本業でまだ儲かる仕組みができていないということになります。
資金管理能力を見抜く「経常利益」
経常利益は、本業ではないが日々発生する収益と費用が計上されています。たとえば、預金の利子や、不動産や株などの資産運用で入ってくるお金、もしくは借入金の利子で出ていくお金のことを指します。
営業外費用が大きいことで経常利益が悪化している場合、借入金の支払いに追われている傾向があるといえます。経常利益は、本業の成績と資金管理能力を盛り込んでおり、その企業の経営全体がうまくいっているか、儲かる経営をしているかどうかがわかるとても重要な項目です。
成長株を見抜くための3つの利益。
成長株投資の対象となるかどうかを見抜いていくためには、「売上高」「経常利益」「当期純利益」が最低でも3年以上、より確実性を高めたければ10年以上の増収増益が続いていることが理想です。
ですが、たとえ10年以上の増収増益でも、伸びが鈍化していたり、当期・来期の業績予想が下がっている場合には、株価の成長は期待できない可能性があります。
投資対象になるかどうかの判断で重要なのは、あくまでも株価がどうなるか、ということ。増収増益の予想でも鈍化しているのであれば、株が売られてしまうことも普通にあることです。
決算書を見て終わりなのではなく、株価はどうなるだろうか、というところまで考えるようにしましょう。
割安株を見抜くための3つの指標。
いわゆるファンダメンタルズ指標であり、割安株を見抜くための指標が「PER」「PBR」「配当利回り」です。
PERやPBRは1株当たり当期純利益や1株当たり純資産など、決算書にある数値で計算したりするものですが、証券会社のツールを使えばわざわざ計算しなくても、もともと記載されているので問題ないです。ファンダメンタルズ指標に関しては奥が深いので、別記事で改めて解説していく予定です。
証券会社のツールを使った損益計算書の見方。
実際に証券会社のツールをつかって観ていきます。楽天証券の「マーケットスピード2」とGMOクリック証券の財務分析機能を使って見比べてみたいと思います。銘柄はどちらも「9984ソフトバンクグループ」で見ていきます。
楽天証券の「マーケットスピード2」
最初にチャートを見てみます。23年は中期的には下降⇒拾われて急騰⇒また下降、長期的にはレンジ持ち合いといった印象でした。
マーケットスピード2は売上高や利益などの業績をグラフで見ることができます。直感的でわかりやすいですね。
ファンダメンタルズ指標に関しても、とてもわかりやすく変化率が記載されています。
GMOクリック証券の財務分析機能
こちらも初心者向けに非常にわかりやすくグラフ化されているのが特徴です。ひとつひとつの説明もとてもわかりやすいです。
すでにご利用の証券会社がある場合は、ぜひ財務に関する情報を探してみてください。ツールか、もしくは証券会社の会員ページから閲覧できるかと思います。
まとめ:定期的に確認が必要です。
今回は決算書の中の一部にしか過ぎない損益計算書の、しかも基礎的な話です。これだけで売り買いを判断できるものではありません。
が、もし中長期保有する目的で株を購入した場合は、必ず定期的に財務状況の確認は行うようにしましょう。とはいえ反対に、あまり気にしすぎるのも、株を保有するための感情がブレてしまうのでよくないです。
適度に気にして、確認すべきところはする、多少の株価の上下は気にしない、といったような株を保有するための工夫も自分なりにしていくことがおすすめです。
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