株の空売りのリスク、空売り“しない”リスク、どちらが怖いですか?
Stock, 株式投資,トレードのコツ, 損失,リスク対策, 空売り
こんにちは、投資家・トレーダーの祐です。
「空売り?なんかリスクとかありそうでこわいよね?」
という株の投資初心者や、長期投資しかやったことがない、という人向け。空売りのリスクについて解説と、空売りのメリットについても紹介します。
その上で、想定されるリスクとリターンについて、あらためて検討してもらい、少しでも空売りに興味を持っていただけたらと思います。
この記事は誰におすすめ
- 株の空売りを知らない人。
- 株の空売りに興味がある人。
- 空売りをリスクだと思っている人。
この記事の内容
株の空売りの基本とリスク。
まずは「空売りってなに?」というところから解説します。そのあとで、いわゆる空売りのリスクと言われているものを紹介します。
空売りの基本と原理。
株の空売りとは、一時的に借りてきた株を株価が高いところで売り、株価が下がったところで買い戻すことにより、差益を得る手法です。
「株を借りてくる、ってなんだか大変そう。」と思うかもしれません。ですが、株を借りてくること自体に特に手続きは発生しません。(空売りをする場合は別途、信用取引口座を開設しておく必要はあります。)
例えばネット証券のツールであれば、新規で売り注文を出せば、瞬時に売り注文が執行されます。買い戻しの決済注文を出せば、同じく瞬時に執行され、勝手に株は返却されます。
なので実際には、株を借りてきたり返却したりということを意識する必要はありません。とにかく“株価が高いところで売って安いところで買い戻す”これが空売りの基本です。
株の空売りで発生する取引手数料。
空売りは信用取引に分類されるわけですが、信用取引は現物取引と同様、それぞれの証券会社ごとに取引手数料が設定されています。
取引手数料だけで見れば、現物取引と信用取引では対して差は無いですし、SBI証券や楽天証券など、国内株式の取引手数料が無料のサービスものも出てきています。ですが、信用取引に関しては買いも空売りも金利の支払いが発生します。
例えば楽天証券の場合、買いの場合に発生する金利(買い方金利)と、空売りの場合に発生する貸株料は下記の通りです。
信用取引(国内株)買方金利(日歩)
制度信用取引 | 年2.80% 優遇金利 2.28% |
一般信用取引「無期限」 | 年2.80% 優遇金利 2.10% |
一般信用取引「いちにち信用」 | 年0.00% |
信用取引(国内株)貸株料
制度信用取引 | 年1.10% |
一般信用取引「無期限」 | 年1.10% |
一般信用取引「短期」 | 年3.90% |
一般信用取引「いちにち信用」 | 年0.00% |
信用取引口座で空振りした場合、発生する支払い金利(貸株料)は年率1.10%となります。「年率1.10%って高いの?安いの?」とイメージしにくい人もいるかもしれません。
あくまで年率ですので、実際に空売りを保持するのは数日なり1週間ということを考えると、ほとんど気にならない金額だと思います。
例えば総額で10万円(1000円で100株)空売りして5日間保持して決済した場合、発生する貸株料は
100,000×1.10%÷365×5=約15円
ほどです。たった15円で暴落と言う大波に乗れるのなら、全く気にならない金額だと思います。
ちなみに取引手数料はというと、前述のとおり楽天証券のゼロコースは国内株式(現物・信用)取引が無料です。なので、空売りが特別すごい手数料がかかるというわけではないことを、理解していただけると思います。
» 楽天証券
空売りのリスク。
株の空売りにおいてのリスクとして主なものは2つ。
- 損失は青天井。
- 高額な逆日歩の可能性。
株を買って損失が出た場合、株価は0までしか下げようがないので、損失にも限度があります。
ですが、空売りで損失が出た場合、株価は無限大に上げていくことができるので(実際はそんな事はあり得ませんが。) 損失は青天井となってしまいます。
これが空売りの最大のリスクと言われている部分です。これに関しては、トレードルールをしっかりと持っておくことで、防ぐことが可能となります。
長期投資であれば損失が出たときに、株価が戻るまで保持し続けるということが可能です。
空売りは基本的にスイングトレード(短期〜中期)となるため、明確なルールと的確な判断でしっかりと損切りしていきます。
なので実際は、取引ルールがしっかりしていて損切りの設定と実行を行うことができているトレーダーであれば、青天井というリスクは発生しません。
「とはいっても、初心者にはわからないよ」という人も大勢いると思いますので、これだけ守れば失敗しないという方法を後ほど紹介します。
高額な逆日歩にに関しては、「そもそも逆日歩って何?」という人がほとんどだと思います。
逆日歩は簡単にいうと、1つの銘柄において、買いに対して空売りが上回ってしまった時に支払わなければいけない手数料のようなものです。
逆日歩がリスク要因となってしまう理由としては、いつ発生するか、いくら発生するかが予測できない点です。
逆日歩の発生は、株の受け渡し日ベースで判定されるため、例えば今日が月曜日として空売りを仕掛けた場合、逆日歩が発生するかどうかを判定されるのは、2営業日後の水曜日となります。
なので、月曜日の時点で逆日歩が発生していなかったとしても、それは判断材料にはなりません。逆日歩の金額は
発生した逆日歩×株数×保有日数
で決まります。ごく稀に高額な逆日歩が発生し利益が吹っ飛んでしまうこともあるようですが、安心してください。逆日歩は1株あたり0.05円~0.15円ぐらいのことがほとんどです。
0.05円の逆日歩の銘柄を300株、5日間保有した場合、逆日分の額は75円です。空売りで得ることができる利益と比較すれば、全く気にならないと言っていいでしょう。
ニュースになるような高額な逆日歩は滅多にないので、そこまで心配しなくて大丈夫です。逆日歩について気になる人はぜひ試しにトレーダーズ・ウェブをご覧になってみてください。
株の空売りはリスクだけじゃない!メリット3選。
ここまで空売りの基本やリスクを紹介してきました。リスクに関しては、実際トレードし始めると、ほとんど気にならないものばかりです。
下降相場のリターンが大きい。
株の空売りの最大のメリットとして、下降相場や株価の暴落は、上昇相場に比べてスピードが速く幅が大きいことが挙げられます。
これは暴落時に一気に投げ売りしてしまう投資家心理が働くことが原因です。上昇相場はどこまで上げていくのか半信半疑の中で買われていくので、少しずつゆっくりと株価が上昇していきます。
反対に下降相場や暴落時は、投資家たちが一斉にポジションを解消するため、勢いが急になるわけです。なので、空売りは買いと比較して、短くサクッと大きな利益を得ることも可能です。
コロナショック時のチャート。
1ヶ月間の暴落で下げた幅を取り戻すのに、3ヶ月ほどかかっているのがわかると思います。この下げで利益がとれると思ったら、かなりおいしいというのがおわかりいただけるかと思います。
資金効率の良さ。
既に紹介した通り、空売りは信用取引の分類となるため、約3.3倍までレバレッジをかけた取引が可能となります。(330,000円あれば1,000,000円の取引が可能。)
かつ、現物取引と違って一度取引した資金が拘束されることがないので、同じ資金を1日に何度も回すことも可能です。
なので、資金効率がめちゃくちゃ上がります。この資金効率の良さは、現物取引にはないスイングトレードならではのメリットとなります。
常に利益を狙うことができる。
株を空売りできるようになれば、下降相場というリスクは、チャンスへと様変わりします。
もしすでに長期投資をしていて、株式市場が高騰しているのであれば、もちろん利益が伸びていて嬉しいことと思います。同時に、そのあとに訪れる暴落を思うと、ワクワクするようになります。
反対に、買いでしか利益を取ることができないのであれば、ものすごく不安に思うのではないでしょうか。
空売りという武器を手に入れること、下降相場を味方につけるということが、どれだけ世界を変えてくれるかぜひ想像してみてください。
株式市場のリスク察知→空売りを仕掛けるコツ。
空売りで青天井のリスクに襲われないために、これだけ守っておけば大丈夫、というルールを紹介します。
下降相場の目安は?
今の株価の推移が上昇トレンドなのかそれとも下降トレンドなのかを判断するには、基本的には75日移動平均線を使います。
株価が上向きの75日移動平均線の上にいれば上昇トレンド、株価が下向きの75日移動平均線の下にいれば下降トレンド。
初心者が失敗しないためには、順張りが基本となるため、株価が下向きの75日移動平均線の下にいる時が、チャンスを伺える時期といえるでしょう。
まずこれだけでもわかっていれば、青天井の損失という空売りの最大のリスクは回避できるはずです。
高騰時の空売りはOK?
株価が上昇トレンド、それも高騰してしまっている場合、「そろそろ利益確定の売りが出るのでは?」といって空売りを仕掛ければ利益がとれるんじゃないか。そういった考えもあると思います。
ですがこれは逆張りとなるため、非常にリスクが高いです。特にほとんどの個人投資家は買いしかしないといわれているため、少しでも押し目があれば買われる傾向があります。
この押し目を空売りのサインと勘違いしてしまうと、まさに青天井のリスクとなるわけです。なので空売りで失敗したくないのであれば、順張りである下降相場を狙ってしかけるようにしてください。
信用取引口座を開設しておこう。
ここまで空売りのメリットとともに、信用口座についても軽く触れてきました。
空売りを行うには信用取引口座が必要になるので、既にネット証券に総合口座を持っている人は、ぜひ信用取引口座も開設してみるといいと思います。
信用取引口座の開設自体に手数料はかからないので、来たる下降相場や暴落に向けて、講座の準備、そして株価チャートについて勉強していくことをお勧めします。
まとめ:長期投資家ほどチャンスはある。
スイングトレーダーが空売りをする事は普通のことであり、だからこそ長期投資家の方が、空売りという武器を手にしたときのメリットは大きいと思います。
長期で買いのポジション保有しつつ、空売りもできたら最強だと思いませんか?ほとんどが買いしかしない長期投資家の中で一歩抜きん出ることができ、リスクヘッジにもなるので、ぜひ空売りにチャレンジしてみるはありだと思います。
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