【長期投資の骨格を学ぶ】ピーター・リンチの株で勝つ【書評】
Stock, 株式投資,トレードのコツ, ファンダメンタル指標, 長期投資
長期投資はなにから学べばいいの?
という投資初心者向け。
【ピーター・リンチの株で勝つ】についての読書メモです。
全米最大のファンドのマネージャーを務め、もっとも尊敬すべき投資家とされた天才、ピーター・リンチ氏のノウハウが凝縮されています。1989年に原書が出版、90年に初めて日本語化され、30年以上たった今でも変わらず通用するからこそたくさんの人に読まれています。
もちろん時代がかなり前である上に米国株の話が中心のため、度々登場する例え話はあまり参考になりません。が、骨格の理論の部分は取り入れる価値は存分にあります。
本書ではアマチュア投資家ならではの強みや情報の使い方、テンバガー株の見つけ方や買い時売り時まで、投資のスタートから完結まで網羅されています。その中から、銘柄探しの情報収集についてや、ポートフォリオの組み方に関して今回の読書メモを残しておきます。
私はスイングトレーダーですのでチャート分析という武器がある分、買い時売り時に関しては今回省かせていただきます。実際勉強になるエッセンスは本書の初めから終わりまでたくさん散りばめられていますので、もっと深く知りたいという人はぜひ直接手にとってみることをおすすめします。
この本は誰におすすめ
- これから長期投資を始める人。
- 長期投資について何を学べばいいかわからない人。
- どんな情報を集めたらよりかわからない人。
この本を読むとどうなる
- 長期投資の銘柄の選別方法がわかる。
- 決算書の見るべき数字がわかる。
- ポートフォリオの組み入れ方がわかる。
テンバガー(10倍株)の探し方。
テンバガー(10倍株)を探すコツを知るために本書を手に取るという人は少なくないはず。
「テンバガー株なんてそんな簡単にはいかないよ」と思ってしまいがちですが、逆にむずかしいと頭から思い過ぎだとリンチ氏は言います。
隣の芝生は青い。
投資がうまくいかない人の問題は、自分が持っている専門知識を活かさずに、まったく知らない業界の株を買ってしまっている点があげられます。自分の知らないところに成功はあると思ってしまっているのです。
でも実は成功は自分が済んでいる地域の身近なところに潜んでおり、得意な仕事や専門の業界にいくらでもヒントが紛れ込んでいます。だからこそ、優位なのはプロの投資家ではなく、その地域に住んでいたりその業界で働いているアマチュア投資家なのだと言います。
自分の専門分野の業界であれば、業績の変化やニーズの動向を把握しているはず。それは頻繁に公表されるような自動車販売動向のようなことではなく、その業界に属している自分だからこそ知れる部分のことです。ほとんどの場合、アマチュア投資家のほうがプロの機関投資家よりも6~12カ月前に変化を見つけることができるといいます。
知っているものに投資すべき。
これは投資の神様であるウォーレンバフェット氏の信念とも一致する話です。リンチ氏もバフェット氏も、決して自分がよく知らないものや理解できないものには投資してはいけないとう信念があり、それを守っています。
だからこそ、新たな情報が舞い込んできた場合、どんなに身近な人や信頼のできる筋からの話だったとしても鵜呑みにしてはいけないと語ります。株の分析はむずかしそう、と思われているせいで、たいていの人が大した調査もせずに購入してしまいます。
ほんの身近な買い物でならばどこが安いかとかどのブランドがいいかなどを念入りに調べるのに、株となるとあっさりと大金を注ぎ込んでしまう、というのはよくある話です。テレビで特集してたとか、営業マンに勧められたからと言って2つ返事で買ってしまっても、誰も責任はとってくれません。
そもそもマーケットはプロが戦っている場なのですから、何の調査もせずに入っていってもうまくいくはずがないのです。
株価の動きをとらえるための6つの分類。
この分類が本書を理解するための重要な要素となります。
- 低成長株
- 優良株
- 市況関連株
- 急成長株
- 業績回復株
- 資産株
低成長株
低成長株への投資は配当を得るのが目的であるため注目すべきは配当が常に支払われているかはもちろん、増配が行われているかどうかが調査すべき点となります。
さらに配当性向の高さもしっかりと調査すべき点です。配当性向が高く推移しているのはリスクも高く、事業拡張に行き詰っている可能性もうかがえます。長期投資でテンバガーやキャピタルゲインを狙っていく場合、低成長株はあまり積極的に組み込む必要のない分類となります。
優良株
廃業に追い込まれる可能性が低く不況に強いのが優良株の分類です(マクドナルドやケロッグなど)。
リンチ氏は常にポートフォリオに組み入れており、30~50%で利食って次の銘柄に移ると語っています。
市況関連株
売上と利益が循環的に上下を繰り返す分類であり、自動車などの主に株価指数を動かしている業種が多いです。株価が最悪の状態の後に訪れる長く堅調な回復期をいかにつかまえ、下降期への突入をいかに早く察知できるかが鍵をにぎります。
急成長株
リンチ氏が一番好みという分類であり、テンバガーの要と言える部分です。数十倍から数百倍もありえる反面、倒産や急落のリスクもあります。その銘柄が、その業界が、いつ成長が止まってしまうかを見極めるのがとても重要になります。
業績回復株
この分類の見極めにおいて重要なのは、負債はどれぐらいなのか、現金はどれぐらい残っているのか、どのような方法で業績を回復させようとしているのか。しっかり見極めることができれば、見事なV字回復を遂げたアップルのような企業を見つけられるかもしれません。
資産株
資産株こそアマチュア投資家の強みを活かせる分類だとリンチ氏は言っています。プロの機関投資家やアナリストが気づくことのできない、専門の人間だからこそ知っているような資産の情報を利用することができるかどうか。
その業界の人しか知りえない情報をしっかり拾って使っていくことが、大きなチャンスをつかむきっかけとなります。
投資対象を選別するための13項目。
項目だけメモしておきます。一つ一つ詳しく知りたい人はぜひ本書を手にとってみてください。
- 面白味のない、または馬鹿げている社名。
- 変わり映えのしない業容
- 感心しない業種
- 分離独立した会社
- 機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
- 悪い噂の出ている会社
- 気の滅入る会社
- 無成長産業であること
- ニッチ産業であること
- 買い続けなければならない商品
- テクノロジーを使う側であること
- インサイダーたちが買う株
- 自社株買い戻し
避けるべき株。
一般的にいわれているものから、リンチ氏独特のものまで。
- 超人気産業の超人気会社
- 第二の○○
- 無駄遣いとしかいえない買収
- 根拠のない口コミ
- 単一の顧客にシェアを割いている下請け
- 名前がよすぎる会社
本当に知る必要のある数字。
その会社にどれほどの値打ちがあるか計るには“収益”と“資産”を把握すべきであり、そのためにはPER(株価収益率)を知る必要があるため、本書ではPERについて深掘りされています。
6つの分類ごとのPERの違いや、個別銘柄のPERがその業種に対してどうなのか、市場全体としてどうなのか、いかにPERによって買われ過ぎ・売られ過ぎを判断するのかが語られています。
ストーリーを組み立てる。
どの分類に投資をするのかを決め、PERによって買われ過ぎ・売られ過ぎがわかったら、次の段階は“ストーリー”を組み立てること。その銘柄の魅力や成長性、弱点についてもう一度復習し、子供でも理解できるほどまでに自分の中でおとしこめれば、投資する準備はできています。
本書では、6つの分類ごとのストーリーの例の他、実際にリンチ氏が経験してきた大きな成功・失敗の例をそれぞれ紹介しています。
ポートフォリオの正しい組み方。
実際のところ、偉大な投資家の有名な本にありがちなこととして、ファンドの資金と個人投資家とは規模が違うことから、参考にならない部分もあったりします。
その点、本書はアマチュア投資家という視点と重視しており、個人投資家のポートフォリオについてもふれています。
- 自分の得意な銘柄に関係する銘柄。
- 個人投資家レベルでは3~10銘柄が妥当。
- 業種を分けることでリスクを抑える。
本書を読むと、実際のリンチ氏の6つの分類ごとの配分まで紹介されています。
読書メモは以上となります。長期投資をこれから始める人や、何もわからずにただ株を買ってしまったという人は読む価値があります。
ページ数は多くみえるのですが、読み飛ばせるところも実際は多いです。というのも、とにかく例え話が多く、1つの主張に対して1つの例でじゅうぶんなところを3つも4つも例が並んでいたり、中には例え話から始まる章もあったりします。
かつ70年代や80年代の米国株の話ですので、必要なところだけ深く読み込むんで全然かまわないとおもいます。
【配当金生活したければ米国株】だけではダメ!下降相場も貪欲に狙え
「配当金で生活したい!不労所得が欲しい!」←誰もが夢見ること。でも夢で終わらせないでください。日本人が投資に疎いというだけで、実現可能です。行動するかしないかの違いだけなのです。時間もお金も余裕のある幸せな生活を送りたかったら行動しましょう。
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