SIMPLE RULES -シンプル・ルール-【書評】

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「仕事で決断にいつも迷ってしまう。」「投資やトレードがうまくいかない。」

という人へ。
SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考えるについての読書メモです。

シンプルなルールを決めて守るだけ。ビジネスや投資・トレードにおいて共通する、成功の法則です。でも一概に“シンプルなルール”といっても、内容はシンプルでも、ただわかりやすくて簡単、というわけではなく、かつルールを設けるところに至るまでは複雑な場合もあります。

本書では、いろんな企業の成功例から、問題を解決できる簡潔で美しいルールと、ルール作りについて解説してくれています。

投資やトレードにおいては、「ルール作り」「ルールどおりにやる」ということが鍵を握ってきます。特に本書は投資に特化したものではなく、あくまでビジネス書ではありますが、内容としては重なる部分が多いので、投資家・トレーダーは一度手に取ってみるといいかと思います。

この本は誰におすすめ

  • 仕事の進みが遅い、優先順位がつけれない人。
  • 仕事で決断する時にうまくできない人。
  • 投資・トレードがうまくいっていない人。

 この本を読むとどうなる

  • なぜルールはシンプルな方がいいのかがわかる。
  • シンプルなルール作りで決断力が上がる。
  • 投資・トレードにおいてのルール作りの大切さがわかる。

あくまで読書メモなので、一つ一つ深くは掘り下げません。「もっと詳しく知りたい!」という人は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

“シンプルなルール”の4大特徴。

大切なことはスピード実行力柔軟性。それらを兼ね備えた“シンプルなルール”には、4つの特徴があります。

  • 1.ルールの数が少ない。
  • 2.使う人に合わせてカスタマイズできる。
  • 3.具体的である。
  • 4.柔軟性がある。

ルールの数が少ない。

ルールの数が少なく単純だからこそ、最優先に取り組むべきことに集中することができます。チームで働く場合も、当然ルールの数が少ないほうが良いにこしたことはありません。

使う人に合わせてカスタマイズできる。

要するに、その人に合ったものを選択する、というもの。ダイエットで言えば、食事を減らすこと自体は共通していても、脂質を減らすのか、それとも糖質を減らすのかは人によって変わってきます。

具体的である。

具体的だからこそ、スピードを保てるし、実行するモチベーションも保つことができます。企業のミッションやビジョンなどは、包括的なものが多いのは確かです。ただ、あまりに範囲が広いと曖昧さが生じてしまい、一貫性を失ってしまったり、行動するスピードにも影響が出てしまいます。

柔軟性がある。

これは「使う人に合わせてカスタマイズできる。」と少し似ているようにも感じますが、もう少し具体性を持たせたものです。

先ほどの例でいうと、“ダイエットと脂質を減らすか糖質を減らすか”といった話の中で、脂質を減らすことを選択した場合、その制限の中でならある程度自由に食べてかまわない、といった感じである程度の自由を持たせているイメージです。

シンプルなルールに弊害を及ぼすもの。

シンプルなルールの習慣化や普及を邪魔するものがあり、より複雑なルールを好む人たちが中にはいます。その理由は3つ。

  • シンプルなルールほど作るのはむずかしい。
  • 「ルールというものは複雑でなければならない」と信じ込んでいる。
  • シンプルなものは頼りない。

シンプルがゆえに幅広く誰でも柔軟に適応が可能で、土壇場の状況でも力を発揮する。だからこそシンプルに達するまでの道のりは簡単ではありません。そして、結局断念してしまったり、複雑化してしまうのです。

そしていつしか、「複雑が当たり前。」「複雑なほうが安心する。」といったまやかしに影響を受けていってしまいます。そして、一度その前提を持ってしまうと、なかなかくつがえすのは難しくなってしまいます。

ルールと信頼関係の問題。

会社に不利益をもたらす、あるいはモチベーションの低い社員を見つけ出し対策を万全にしようとするあまり、どんどんルールや規則が増えていってしまう、というのもよくあります。

ですが、その一握りの質の低い社員のために、95%以上の信頼できる社員の行動や自由を制限してしまうことは、全員のモチベーションやパフォーマンスの低下につながってしまいます。

物事の本質を見失う。

一つのことを追及するあまり、物事の根幹よりも枝葉ばかりに目が行ってしまい、ルールが増えていってしまうこともよくありがちです。定期的に根本に立ち返り、原点回帰することが、シンプルなルールの運用には大切です。

スピーディかつ効果を発揮するルール。

スピード感をもって行動するための指針となります。

  • きほんの「き」:境界線ルール
  • 限られた資源を最大化する:優先順位ルール
  • 引き時を決めておく:停止ルール

きほんの「き」:境界線ルール

シンプルなルールの基本となる二者択一の意思決定ルールが「境界線ルール」。「採用するか」「排除するか」の「イエス/ノー」でサクサク判断していくルールです。

アメリカでは国防総省や医療現場など、重要な現場において「境界線ルール」が採用されており、この形式をとることで、時間をかけずに何をすべきかの判断をくだすことが可能になっているわけです。

限られた資源を最大化する:優先順位ルール

時間・労力・資金が限られているときに力を発揮するのが優先順位ルール。本書で紹介されているわかりやすい例として、ブラジル連邦鉄道が民営化されたときの話があります。

経営が傾きつぶれるのは時間の問題、資金が底をつきかけたときに、まずはなにから手をつけるかを選ぶための優先順位ルールを作り、ふるいにかけました。

  • 最も売り上げの妨げになっているものは?
  • 最速で利益がでるものはどれか?
  • 最も投資額が少額で済むものはどれか?
  • 最も再利用が可能なものはどれか?

これが功を奏し、事業が立て直され、のちに中央・南アメリカで最大の独立系物流企業となりました。優先順位付けが苦手な人は、常に指標をもっておくためにも、今現在で自分が一番大事にしたいことがなんなのかを、定期的に確認することを習慣化することが解決につながっていくはずです。

引き時を決めておく:停止ルール

いわゆる投資でいう「ロスカット」ルールです。「移動平均線にタッチしたら損切りする。」「○○%下がったらロスカット。」といったルール。企業も同じとこが言えますね。赤字が出ている事業をいつまで続けるのか、引き際がとても肝心です。

ルールを最小限に絞り込む。

ルールを絞り込むフェーズです。

  • 「何をどうしたら」ハウトゥー・ルール
  • 「協調」コーディネーション・ルール
  • 「いつ」タイミング・ルール

「何をどうしたら」ハウトゥー・ルール

ハウトゥー・ルールはもっとも広く使われる、根本的なことを決めておくためのルールです。投資・トレードにおいてはまさにこの、ハウトゥー・ルールが重要になってきます。

「2つ以上のテクニカルがそろったらポジションをとる。」「○○%で利確(損切り)する。」これらを決めておくことで、自由に銘柄を選定することができるようになり、取引中も迷いを減らすことができます。

「協調」コーディネーション・ルール

一人では微々たるものでも、団体であれば大きな力を発揮できる。その団体をまとめるためにあるのがコーディネーション・ルールです。

たとえばナポレオンは兵士たちに、「砲撃の音がきこえるほうへ進め。」という命令をしていました。極めて単純な命令であるにも関わらず効果は絶大で、フランス軍の快進撃の理由の一つとなったわけです。

シンプルで数が少ないルールであればあるほど、チームは動きやすくなり、かつそのルールの中で自由があると、ひとりひとりのモチベーションを保つことができ、クオリティも上がっていきます。

株への投資に関していえば、日本もアメリカも株価がどんどん上昇しているのはまさにこの“数の力”です。プロが空売りを仕掛けているところに対し、個人投資家が束になって買い向かっているため、コロナショックの暴落はすぐに取り返しました。

株価の動きは、お金の動きが流入しているのか、それとも流出しているのかを見極めていくことが、自分が投資・トレードしていく上でのコーディネーション・ルールを作っていくことになります。

「いつ」タイミング・ルール

これも投資・トレードにおいては効果を発揮するルールです。「連休前にポジションをとじる」「閑散期は上昇しやすい。」など、「いつ、どうする」ということを決めておくことが、タイミングルールの構築となっていきます。

他にも、「決算発表銘柄はトレードしない。」とか、「○○時以外は相場を見ない。」などといったルールは、トレード初心者には取り入れやすいかと思うのでおすすめです。

実践に向けた基本。

行動するときに取り入れるべき基本の要素です。

  • まず自分で行動する。
  • 「他者の経験」を拝借する。
  • 「科学的証拠」で補強する。

まず自分で行動する。

とにかく行動するに尽きるというもの。当たり前の話ではありますが、大事なことは自分のルールや価値観をもって取り組み、諦めないこと。経験をつむことで検証し、修正していくことでますますルールは強化されていきます。

「他者の経験」を拝借する。

日本ではついついオリジナルのサービスを開発することに頭を悩ましがちですが、アメリカでは真似から入ることが普通であり、後発の企業が成功をおさめることが多くあります。

本書で紹介されているネットフリックスに関しての例は、ビジネスではよく紹介される話です。元々DVDのレンタル会社としてサービスを行っていましたのち、今の形態になったわけですが、後発だからこその強みというものを存分に生かして成功をおさめています。

完全オリジナルのサービスに頭を悩ますよりも、「いかに付加価値を出して差別化するか」に時間もお金も使ったほうが成功には近道です。ただ、たとえば投資・トレードにあてはめてみた場合は注意が必要です。

他社の意見にのせられて投資商品を購入してしまったり、トレードの売買判断をしてしまうと思わぬ大損失につながってしまいます。それを防ぐためにも、次の「科学的証拠」が必要になってきます。

「科学的証拠」で補強する。

「他者の経験」を拝借してくる場合に注意すべきは、情報に流されやすくなり、役に立たないものをつかまされてしまうということ。それを防ぐためには、科学的根拠を収集していくことにつきます。

論理的でつじつまがあっているか、自分がきちんと理解できているか。たとえば投資で失敗したくないのであれば、証拠や根拠の部分を意識して判断していく必要があります。ファンダメンタルズやチャート理論についてしっかりと勉強することで、間違った情報に流されずに利益を出していくことが可能になります。

ルールは作ったら検証しよう!

投資やトレードにおいては「ルール作り」は必須です。そしてもっと大事なのが、「ルールどおりにやる」、そのあとに成功・失敗の理由を探るということ。

トレードもビジネスも、「ルールを作る→検証する」を繰り返していくことで、シンプルを追及していくわけです。

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